世界初の研究報告『生活習慣による花粉症重症度の改善が腸内細菌叢の菌構成に左右されることを検証』 国際誌「Applied Microbiology」へ論文掲載

2022年 12月 7日

株式会社サイキンソー(本社:東京都渋谷区、代表取締役:沢井 悠、以下サイキンソー)は、SOMPOヘルスサポート株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:平塚 徹、以下SOMPOヘルスサポート)とともに、腸内細菌叢の菌構成別の生活習慣介入による花粉症重症度に対する有効性を検証するための共同研究を実施しました。

本研究の成果が、 2022 年 11 月 10 日付けで『Applied Microbiology』に掲載されました。

論文概要

The Baseline Gut Microbiota Enterotype Directs Life-style-Induced Amelioration of Pollen Allergy Severity: A Self Controlled Case-Series Study

(和訳:生活習慣による花粉症重症度の改善は腸内細菌叢エンテロタイプに左右される〜自己対照ケース シリーズ研究デザインによる実証研究〜)
URL:https://doi.org/10.3390/applmicrobiol2040069

 

本研究成果のポイント

( 1 )花粉症は、労働者のプレゼンティズム[ 1 ]、アブセンティズム[ 2 ]に大きな影響を与え、労働生産性を悪化させる要因となっている

( 2 )プロバイオティクス[ 3 ]やプレバイオティクス[ 4 ]の摂取と花粉症症状との関連を検討した臨床試験では、一貫性のない結果が報告されており、どのプロバイオティクスやプレバイオティクスが花粉症の改善に寄与しているかは、依然として議論の余地がある

( 3 )本研究では、症例対照研究による機械学習モデルにより、花粉症の症状とその重症度の個人差を最も予測する要因が、腸内細菌叢のエンテロタイプ[ 5 ]と生活習慣(特に食事習慣)の組み合わせであることを発見した

( 4 )介入研究により、エンテロタイプのBM型、PF型、R型[ 6 ]において、エンテロタイプ別の個別化腸活プログラムが花粉症重症度の軽減に有効であることを示した世界最初の報告である

プレスリリースは下記をご確認ください。
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PRTIMES

用語説明

[ 1 ]プレゼンティーイズム
何らかの疾患や症状を抱えながら出勤し、何らかの体調不良があるまま働いている状態。

[ 2 ]アブセンティーイズム
心身の体調不良が原因による遅刻や早退、就労が困難な欠勤、休職など、業務自体が行えない状態。

[ 3 ]プロバイオティクス
腸内フローラのバランスを改善し、人体によい作用をもたらす微生物。乳酸菌やビフィズス菌など。

[ 4 ]プレバイオティクス
宿主微生物により選択的に利用された結果、宿主の健康上の利益をもたらす物質。オリゴ糖など。

[ 5 ]エンテロタイプ
欧州のMetHIT (Metagenomics of the Human Intestinal Tract) プロジェクトが 2011 年に、腸内常在細菌叢の構成パターンを指標とした多変量解析を行い、細菌組成を大きく 3 つのタイプに分類することを提案した。地域性、性別、年齢に依存しないことや、長期間の食習慣と関連することが示されている。

[ 6 ]BM型、PF型、R型
BM型:Bacteroides属が優占しているエンテロタイプB型の中で、Megamonas属およびFusobacterium属が優勢な菌叢タイプ
PF型:Prevotella属が優占しているエンテロタイプP型の中で、Faecalibacterium属が優勢な菌叢タイプ
R型:エンテロタイプR型。Ruminococcus属が優勢なタイプ